ゴルフをする予定があるので、関連する話題をひとつ。
さて私、プレーは割と早いほうだと思います。打ったらすぐに動く、クラブを2,3本持って「もしも」のときに備える、とか。ドライバーでもパターでも、構えたら打っちゃいます。
まあ、結果として同伴者をイラつかせることもないので良いのですが、気を遣っているというより、単に気が短いから。そして面倒くさいから。そして、なんかリズムができていて、それを壊したくないから、とかそういうのが理由です。
「考え過ぎると良くないよ」というアドバイスは、割とよく聞くものだと思います。実際、私がよくやるのは「300yrdちょっとのPar4か~。ドライバーで失敗しなければ、パー取れちゃうもんね♡ ティーショットは注意しなくちゃ。オーバースイングしないように気を付けて、しっかり下半身を固めて打てば、最悪の結果にはならないよね。とりゃ~」と打って最悪の結果を迎えるという・・・。
『なぜ直感のほうが上手くいくのか? - 「無意識の知性」が決めている』(ゲルト ギーゲレンツァー (著), Gerd Gigerenzer (原著), 小松 淳子 (翻訳) )は、「熟練者なら考えるのをやめろ」とアドバイスしています(P.55)。 ベテランの場合最初に最善の選択肢を思いつくことができるので、じっくりと考えてその他の劣った選択肢にチャンスを与える必要がない、と言っています。
「速度-精度相反性(speed-accuracy trade-off)」は心理学の分野で確立されている原理で、上記の主張はこれに反するものですので、理論を知っている人ほど「そうなんすか?!」と思ってしまうところだと思います。しかしながら、緊急事態にある警官や消防士などのプロフェッショナル、プロフェッショナルなスポーツ選手などの行動を考えてみると、現実世界では「速度-精度相反性」に反する結果が出ていそうだよね~とも思ってしまうところ。
この本では、「ある実験で、新米ゴルファーとベテラン・ゴルファーを二通りの条件下で検討した」という事例を使って、「最初にピンと来たのが最高!」(P.51)としています。
パットの時間を三秒までと制限した場合と、好きなだけ時間をかけさせた場合である。制限時間三秒というプレッシャーがかかると、新米誤フラーのプレーに影響が出て、カップになかなか入らなくなった。(略)ベテラン・ゴルファーは時間無制限の場合よりカップ・インが増えたのである。(略)ベテランがスィングに集中するとパットの精度が低下し、気を散らせるとかえって精度が向上したのである。(P.52)
考え得る動作が選手の頭に浮かぶ順番は、同さの質をそのまま表していた。最初に浮かんだ動作は二番目より明らかによく、二番目は三番目より優れているといった具合だ。つまり、選択肢を作りだすために時間をかけるのは、劣った選択肢にもチャンスを与えることにほかならないのである。最初に最善の選択肢を思いつく能力は、ベテラン選手の持ち味だ。それに対して、経験の浅い選手の頭には、最初から最善策が自然に浮かんでくることはない。そこで長い時間と熟考が役に立つ。(P.54)
さらに「速度-精度相反性」の初期の研究がおおむね、「専門家ではなく世慣れぬ学生を対象として行われたもの」であるが故に、熟達者に関してはプロセスについて考え過ぎると動作が鈍り、バラバラになってしまうと言っています。結論は「意識しないままに行われるのが一番」だそうですよ。
まぁ、私の場合、ベテランだから考えないという訳ではないので、問題はあるんですけど。戦略を立てないうちに打っちゃうから、最高にうまく打てた⇒フェアウェーバンカー、とか、構えがそもそも右向いてた⇒木の精と仲良し、とか。そこは改善しないといけません。頭は帽子をかぶるためにあるわけではない、使うためにあるのだ!というのは好きな言葉なんですが(私のオリジナルだっけ・・・?)、ゴルフのときの私の頭はキャップのためにあるといっても過言ではないのであります。
とはいえ、本日の格言は「早く打て!さっさと歩け!下手ならば」。