小さな会社でも、いや、小さな会社だからこそしっかりとやらなければならないこと。それは契約。
社長がここに強くこだわっていることもあり、会社立ち上げ当時から結構細かく契約内容はチェックしてきました。契約書そのものだけでなく、取りきめについては可能な限り文章に残すなど、後々問題にならないよう、プロジェクトを開始するまえにしっかり詰めています。
これまで私たちはとても運の良いことに、非常に良い企業、そして素晴らしい方々と一緒にお仕事をさせていただいたことから、大きな問題に発展したことはありません。しかもクライアント側が契約に厳しい(しっかりと取り決めをする)ことも多く、また一方的に押し付けられることもなかったので、とても恵まれていると思います。
事前にしっかりと交渉ができる企業やご担当者とは、そのときにお互い重要と思われる問題をテーブルに乗せることができるので、交渉のときには「それは困る」「こうしてくれなければダメ」などのお話になるので結構苦しかったりしますが、そこを乗り切ると実作業に入ったときに本当に楽。いや、実作業で楽だったことはほとんどないのですが、大赤字をくらったり大喧嘩をする事態を考えれば、作業が大変なんていうのは振り返ってみれば「あのときは大変だったよね~」という思い出話になるレベルじゃないかと思います。
仕事が取りたい一心で、ここはぐっと堪えて、とか
この部分はなんとかカバーできるだろ、とか
こんなこと言ったら、せっかくのチャンスがふいになる、とか。
こういう邪念は小さな会社にとっては命取り。絶対にやめるべきだと思います。
殆どのプロジェクトは予定どおりに進まず、予定以上にリソースを投入する必要が発生するもの。そんなとき、小さい会社では自社リソースを使っての人海戦術というのはあり得ないから実際に現金が流出する羽目になり、よっぽど簡単なものでない限りは当初予算を超えてしまうもの。これが普通だとして、契約時点で詰めておらず、予定以上の作業をやらなければならない羽目になったら?あるいは、いつまでも仕様が決まらないけれど納品日は動かせないと言われてしまったら?
通常の赤字プロジェクトどころではない、大きな痛手を被ることになってしまいます。自分たちは悪くない、出るところに出てやる、というときも、もし勝てたとしてもそれは1年後かもしれない、それとも5年後かもしれない。専任スタッフを抱えた大会社とは違い、小さな会社は経営者が防御服もない状態で戦いに出なければならない。
それ、無理。
契約前の小さな会社は、結婚を目前に控えた娘さんのよう。輝く未来ばっかり見えてしまうものですが、そこはしっかりと気を引き締めて、将来のダンナ様とお話をすべきです。「しっかりした女性だ。この人こそ、僕が人生を共に歩んでいく人」と思ってくれるか、「うぜぇ女だな」と思われてしまうのかはわかりませんが、そこで破談になるのなら寧ろ良かったと思って次のチャンスをつかむ努力をするのが吉でしょう。
そんなこと言えるほど会社に余裕はないよ。とにかく仕事を取らなくちゃ、と思うようであれば、やるべき仕事は会社のスリム化ではないかと疑ってみましょう。とか思います。