私のほうをじっと見るライチ |
仕事ばかりしていたら、犬がヘンテコリンな行動をしはじめました。
ヘンテコリンといっても、いつもとちょっと違うかな〜という程度で、行動異常(あるいはノイローゼ)を心配するほどではありませんでした。それでも、「この子、私の気持ちが自分に向いていないことが、完全にわかってる・・・」と感じさせられる程度にはヘンでした。
リビングと廊下を隔てるドアの前でお座りをしてジーッと私を見つめているとか、夜中にムクッと起きあがり遊びをせがむとか、緩いウンチをするとか。うげー、やばいなー。もっと構ってあげないといけないなー、とは思っていても、締め切りが迫った書類が仕上がっていない現実を前にするとそっちが気になって仕方ない・・・。
そうすると、いつもだと安心して惰眠をむさぼっているような時間でもキリリとお座りをしてみたり、フラフラと徘徊しはじめたりするので本当に困りました。いや、困っていたのはライチのほうだったのでしょう。いつもと違う状況に、どう対処してよいかわからないという様子でした。
ライチは(他のワンコと同じだとは思いますが)「飼い主大好き犬」で、身体をさわってあげると喜ぶし、お散歩も遊びもごはんも、一人ではやりたくないタイプです。それでも
家で安心しているときは一人寝もできる、まあまあ自立した子ではあります。普段は、仕事に集中していたとしても、特に文句をいうこともなく、一人で遊んだりリラックスしたりしてくれます。お留守番が続いたり、お散歩が少なくても、飼い主が一緒にいれば(そこそこ)満足してくれる良い子なのです。
しかし今回よーくわかったのは、それは安心していればこそなのだということです。
家にいてもPCに向かって何かをしている、というのは、いつもと大きくは変わらない行動でした。しかし、焦る気持ちや不安な思いを抱えていたところは、いつもと違っていました。その気持ちが彼に伝わったのかもしれません。お散歩が少なかったとか、遊んであげられなかったことも勿論だとは思いますが、私の不安や弱気を察して彼をしてヘンテコ行動へと駆り立てたのではないかと推察しています。
動物の知覚がとても鋭いというのは、よく知られています(注1)。第六感や超能力としか解釈できないような出来事も、いくつか伝えられています(注2)。ライチを超能力犬だというつもりは毛頭ありませんが、それでも人間以上に鋭いところがあるようです。犬は、飼い主のことを常に観察し、飼い主が発する微妙なサインを見逃すことがないといいますが、ライチを観察している限りそれは確かにそうだと思えます。
ライチが私のことを「ものすごく」気にしているというこの事実を前にすると、「ああ、本当に健気な子」と思わざるを得ませんな。まあ、飼い主の変化に鋭いという超能力(?)の裏にあるのは「こいつに捨てられたら生きていけないから」という切羽詰まったものなのかもしれませんが、それはそれでいじらしい。そんなライチの一途な眼差しに、私なりには一生懸命こたえていきたいと決意を新たにしております。
若干ヘンテコリンでもやっぱりカワイイ Adorable Doggy in Frog Hat |
唐突に注記を入れてみます。
注1)「賢馬ハンス」というウマの話が有名です。「むずかしい算術の問題を与えると、ハンスはひづめで地面をたたいて答えるのだが、この反すというウマは調教しの微妙なサインだとか、正確な数だけ地面をたたいたとき監修がわずかに身体を緊張させるといったような微妙な変化をよむことができたのである」(『イヌのこころがわかる本―動物行動学の視点から (朝日文庫)』 マイケル・W. フォックス (著), 平方 文男 (翻訳), 奥野 卓司 (翻訳), 平方 直美 (翻訳), 新妻 昭夫 (翻訳))
注2)引っ越し先を知っているわけではないイヌが、新しい家に飼い主を訪ねてくるなどのお話ですね。超能力だろ!と私などは思ってしまいますが、このあたりはどういう能力なのか、最新の研究では判明しているのだろうか?今度調べてみようと思います。